2010年1月から4月の日記

葉桜

 寒い春の日々が続きましたが,新芽も出揃い、葉桜の候となりました。ゴールデンウィークも目の前です。休みには近くの公園を散歩したいと思っています。

 西行の桜の歌といえば、
 「願わくは 花のもとにて春死なむ その如月の望月のころ」
がよく知られていますが、私が好きなのは
 「青葉さへ 見れば心のとまるかな 散りにし花の 名残りと思えば」

 つい先日楽しませてもらった満開の桜の日々を心に思いつつ、強くなって来た日差しを気にしながら葉陰のお散歩。どこからか(博多どんたくの)お囃子も聞こえてくるかもしれません。

2008年4月28日

 

会食

 昨晩、魅力的な若い三人の女性と会食をしました。前々から予定していたのですが、それぞれの仕事の都合で伸び伸びになっていたのが、やっと実現しました。
 場所は若い女性シエフが一人でやっていらっしゃるオープンキッチンのフランス料理店。野外キャンプで使うダッチオーブンの小型の鍋〈15×15〉に盛られた魚と野菜の料理をはじめ、料理はどれも美味しく満足。
 驚いたのは27席もあるのに、たった一人で捌いていらっしゃること。仕事ぶりを拝見していると、壁に何台も並んだオーブンを上手に活用されていることが判りました。頭の上にはメモを挟むボタンがずらりと並び、それぞれのテーブルの料理の出来上がりが書かれているようです。お皿もグラスも、すべて食器洗い機におまかせと聞かされ、世の中進んだものだと改めて感心。
 若い方たちのエネルギーを沢山もらった会食でした。

2010年4月25日

卵焼き

 四月の新学期が始まりました。今もPTAの活動は行われているのでしょうね。
 重松清さんの「とんび」を読んで、その昔、私自身も「家庭」と「仕事」、そしてPTA役員の活動に飛び回っていた時代のことを思い出しました。
 物語は、昭和30年代後半。父子家庭の父親と息子(トンビと鷹)が、周囲の暖かい思いやりの中で、子どもが立派に成長していくという、ほのぼのとしたお話です。私も物語と同じ時代、2人の子供で足掛け15年ほどPTA活動に携わった経験があります。私の場合も、周囲の方の協力があったからこそ、できたことです。遠足や運動会で、お弁当を他のお母さんたちのお世話になったことも度々。子供は「誰々さんのお母さんの玉子焼きが美味しかった」と今でも懐かしんでいます。こんな「母親の味」も悪くないな、と思っています。

2010年4月22日

宅配便

 この便利で、ありがたいシステムが始まったのはいつのころでしょうか? もう記憶にないほど昔のことのように思われます。
 苦手な車を運転して町をウロウロしてた頃のことを考えると、なんと便利な世の中になったことだと改めて思います。あまりに当たり前になりすぎて、すっかり忘れていました。
 そんな事を思ったのは今朝、若くて元気のよい二人の若いスタッフの方が荷物を届けてくださったからです。荷物ばかりでなく、若いエネルギーもたくさん頂いていたんだと気付きました。
 スポーツや芸能の世界以外にも、元気な若者は町に溢れているのです。そんな生き生きとした若い人たちの将来が、曇りない世の中であって欲しいと願います。自分たちの手で、立派な国を創られることと信じます。

2010年4月20日

穏やかな日々

 リーマンショックに続いて、今度は4月に入ったというのに寒い日々。どれも100年ぶりと、世の中はずいぶん騒がしい様子です。
 さらに、アイスランドの噴火では、火山灰の影響で約2万便が欠航とか。
 アイスランドといえば、70歳を迎えた時「80歳になったら、お祝いにアイスランドに行って温泉に入ろう」と決意し、そのために足腰を鍛え、日々500円貯金をしていたことがあります。その前には、一度ニューヨークのマンハッタンだけは見てみたいと思っていた時期がありました。
 自力で生き抜く50年はとっくに過ぎ、他力によって生かされた歳月も早25年。
 どうやら、この二つの夢は、ちょっと縁がなかったようです。でも、今は好きな器に囲まれ、同好の人たちに出会い、豊かな時間を過ごさせていただいています。それにインターネットがあれば、居ながらにして世界を旅しているようなものかもしれません。
 穏やかな日々に、感謝。

2010年4月17日

かたつむり

ウイキペディアより

でんでん虫々 かたつむり
お前のあたまは どこにある
つの出せ やり出せ あたま出せ
でんでん虫々 かたつむり
お前のめだまは どこにある
つの出せ やり出せ めだま出せ


   文部省唱歌『かたつむり』

 

 

 まだカタツムリが出て来る季節ではありませんが、町おこしや不景気に立ち向って色々頑張っているテレビ番組を立て続け見て思い出した歌です。
 「三人寄れば文殊の知恵」どころか、町内全員で知恵を出し合い、国や県からの補助金を待つのでなく自助努力をしている皆さんの姿。農産物を積んだ軽トラックを道一杯に並べて朝市を開催している宮崎県川南町や、「辛い(つらい)」を「辛い(からい)」で吹き飛ばせとばかりに、町中のお店が協力して激辛メニューを用意した京都日向市など、どれも頭の下がる努力ぶりです。今の状態が十年も続いたら、浮かびあがるのが難しいのではと思っていましたが、やはり日本には底力はあるのですね。
 もしかしたら、ピンチがチャンスになるのではと期待しています。この空気が全国に広がるといいですね。

2010年4月14日

 

道楽

 このお店は、金持ちの道楽でやっている訳ではないのですが、時にそのように見えることがあるそうです。

 自分の好きな作品ばかりを並べ、安いものは一切なくバーゲンもしない。にも関わらず、細々ながらもお店を続けていられるのですから、傍目にはそう見られても仕方ありませんね。

 実は「お金持ち」は、私ではなくお客様なのかもしれません。誤解のないように説明すれば、私が「お金持ち」といっているのは、銀行の預金残高が多いとか、不動産をたくさん持っている人という意味ではありません。その「心の持ちよう」です。「買えない理由にお金のことを言う人は、お金が入っても買わない」とある方がおっしゃっていました。それもご縁です。でも、先日お出かけいただいたお客様のように「買いたいものがあるうちが花」とおっしゃってくださる方もいらっしゃいます。これもまた、ご縁。

 私は本当に気に入ったものしか店には並べません。私が半世紀の間、一度もブレることなく続けてきたスタイルです。それでお店が続けられているのですから、本当にありがたいこと。今日も展示品を惚れ惚れ眺めながら、どこに貰われていくのかと楽しみに店番をしています。

2010年4月13日

煌く春

 バス停から見ていた桜並木の満開の花も、今はもう葉桜になりました。煌く春の到来。やっぱり四月の陽ざしは明るいですね。
 街には新しい季節を迎えた新社会人や学生さんたちが、キラキラした瞳を輝かせて行きかっています。就職氷河期だとか、失業率が過去最高など、今は厳しい時代だといわれていますが、私が若かったころに比べれば、ずっと良いと思います。
 暗い話には耳を貸さず、自分が放つ光で周囲を元気に明るくしてやるんだというくらいの意気込みをもって進んでください。
「たきぐち」も若い作家の新作を展示します。ぜひ煌きとエネルギーを受けとってください。12日からです。

2010年4月9日

50年後の桜

 50年後には全山が桜に覆われる予定の、清里桜の森の第3回花見の会にお招きいただき行ってきました。
 場所は熊本県荒尾市と長洲町の境目。山主は日本料理てら岡の寺岡社長。
 黄色い花を咲かせる御衣黄(ぎょいこう)、淡墨桜,荘川桜,臥竜桜など80種、800本の桜が植えられています。小鳥のさえずりを聞きながら、森の広場で手作りのお弁当をいただきました。
 50年後の姿を見ることは叶いませんが、それを思い浮かべながら春の一日を過ごせただけでもありがたい経験でした。不思議な力をいただき、今ここに生きていることに感謝した一日でした。

2010年4月8日

トヨタの車

 今、世界中で売られているトヨタの車ですが、私が初めて乗った車もトヨタのコロナマーク2。色はシルバーでした。
 今までの人生で、苦労したことは多々ありますが、自動車免許の取得ほど苦労したことはありません。普通の人の何倍もの時間をかけ、何十倍の涙を流してようやく手にすることができました。まさか、そんな大変なこととは思いもせず、早々に車だけは用意していたのですから我ながら呆れます。買ったはいいけど、一度もハンドルを握ることなく手放すのではないかとさえ思ったほどです。
 幸いにも免許取得後は、仕入れやお届けにも大車輪の活躍をしてくれました。オートマチック車が出る前で、もちろんパワーステアリングなどという便利な機能もない時代。ハンドルは重く、クラッチにも足が届きにくく本当に苦労したことを昨日のことのように思い出します。私の運転スタイルは人に言わせると、小さな女の子が必死にハンドルにしがみついているようだったそうです。足がペダルに届くようにシートを目一杯、前方にずらし、前がよく見えるように重ねた座布団の上に座ってハンドルを握っていたのですから、そう見えても不思議はありません。
 最近はリコール問題でトヨタ車が窮地に立たされているそうです。でも私のようなドライバーが、もっと安全にもっと楽に運転できるようにと技術改良を重ねてきた結果として起きた問題だとしたら、きっと今回の問題も乗り越えて行かれることと思います。
 60歳を期して免許は返上。仕事で車を運転することはなくなりましたが、あの当時、今のような車があれば、私の肩こりももう少しは楽だったかもしれません。

2010年4月4日

ナニカアル?

 桐野夏生さんの小説は『OUT』や『グロテスク』など、題名に驚かされることが多いのですが、今回の新作も『ナニカアル』。何があるの? と読んでみてびっくり。これは『放浪記』で知られる林芙美子さんの詩の一節だったんですね。
 林芙美子さんの小説は読んだことはありませんが、映画になった『浮雲』は、日本映画の中で一番好きな作品です。今回『ナニカアル』を読んで改めて林芙美子さんの文学、たくましさを知りました。そして、改めて「力あるものは残る」ということを教えられた気がします。

「花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき」 47歳で亡くなられた林さんが生前、色紙などに好んで書いた言葉です。

2010年4月2日

思い出の桜

 一番古い桜の思い出は10歳の頃に住んでいた満州(中国吉林省敦化)の家の庭にあった桜です。
 当時、北限の桜といわれ、植えてから10年を経てやっと咲きました。日本で見る満開の桜とは程遠く、10個くらいの花がまばらに咲く程度でしたが、咲いた時には、近くに住んでいた日本人の方々が次々に見に来られたことを思い出します。外地で暮らす日本人にとって、やっぱり桜は特別の意味を持っていました。それが何月のことだったか、今では思い出せませんが、次の年にはもうその土地を離れていましたので、見たのはたったの一度きり。あれから65年。今でもちゃんと花を咲かせているのでしょうか?

2010年4月2日

散歩

 春爛漫。桜満開。せっかくの見ごろなのに、花冷えの日が続いています。

 今住んでいる場所を選ぶ時には、大濠公園を散歩することを目的に、引越してきました。
 家を出て平和台球場跡を通り、舞鶴公園を抜けて、大濠公園を一周して帰宅。約1時間の散歩コースです。桜の季節が終わると、ツツジ、栴檀、藤、蓮の花と、次々に咲く花を眺めての早朝の散歩。毎日は行けないものの、この20年以上、四季の移ろいを楽しませてもらいました。時には満開の桜を独り占めできるような日もありました。
 今はちょっと足を痛めていて、なかなか行けないのが残念です。最近は、バス停に立ち、目前に広がる桜並木を眺めて慰めています。

2010年3月31日

 

ガラス

 ホームページのトツプの写真が変わりました。
 作品は高橋克典さんのガラス器です。4月12日からの展示会では新作を展示する予定です。
 高橋さんには3年前、新聞で個展の案内記事にクリスタルガラスと書かれていたので見に行ったのが始まりです。
 ガラスはクリスタルが好きです。耐熱ガラスと違って取扱いが難しい、用注意の器です。でも透明度の高さ、氷を入れてロックで飲む時の、なんともいえない音が素敵。いい物を大切に使う練習をするにはもってこいの器です。
 高橋さんは器だけでなく花瓶、置物も全部クリスタルの吹きガラスです。
 29日に高橋さんの工房にお邪魔させていただき、展示作品を決めることにします。

2010年3月26日

家事力

 お休みと晴天が続いたので クリーニングに取り組みました。
 街中に住んでいるせいもあって、とうとう近所にクリーニング屋さんがなくなってしまいました。そこで今回は、自分で冬物のクリーニングに挑戦してみることに。
 インターネットで花王のサイトにアクセスして、セーター類を洗う洗剤を調べ、「エマール」という洗剤を購入しました。長年、クリーニング屋さんに出していたせいで、衣類はどれも長持ちしました。改めて眺めてみるとどれも10年、15年着続けているものばかり。うっかり自分で洗って駄目になるのが怖く今日まで来たのですが、恐る恐る、花王さんの説明通りに洗ってみて驚きました。仕上がりが本当に綺麗なのです。
 何より驚いたのは、世の中ずいぶん進んでいることも知らずに過ごしていた、自分の「家事力」の無さでした。

2010年3月23日

三寒四温

 冬一月の季語。でも、それをしみじみ感じるのは三月です。
 急に暖かくなり、春到来と大急ぎで冬物の整理をしてクリーニングに出した後、思いがけない寒い日が来て、あわてるのが例年のことなのですが、今年はいつも利用していた店が閉店となり、冬物の整理ができないままでいたのが幸いしました。例年になく三寒四温が激しく、今だに冬物が役に立っています。
 気温は下がっても、空は明るく、毎年の事ながら着る物の迷いの多い日々です。
 暑さ寒さも彼岸まで。今年はピンクが流行とか、近くにパルコがオープンして賑わっているようです。スカーフでも買いに行って、春を楽しんでみることにしましょう。

2010年3月21日

幕の内弁当

 福岡の桜が開花との記事。花見の季節が到来しました。
 先日、全国の駅弁が東京のデパートに集まってものすごいバトルが展開される様子がテレビで紹介されていました。創業80年九州のお店が作る気合の入った弁当、四国からは馬路村の弁当(ポン酢醤油や「ごっくん」はずいぶん前から贔屓にしてます)、北海道のいかべんは縁無く食べたことありません。花見には、やっぱり幕の内弁当がぴったりと思いながら見ていました。
 一人暮らしでは、色々の食材を揃えたお弁当を作るのは、どうしても無駄が多くなります。これまで、デパ地下の惣菜売り場とは縁無に過ごしてきたのですが、今度、いちど覗いてみようかと考えています。
 手作りの料理とお惣菜を組み合わせた自作の幕の内弁当と、美味しい辛口のお酒。桜の絵を眺めながら一杯やるのも悪くなさそうです。

2010年3月20日

以心伝心

 先日、この店主日記で応援団のこと書いたところ、以心伝心からか、日賀野さんの作品が、西日本新聞の読者文芸のカットに4月から一年間掲載されることになったそうです。15年来、日賀野さんを応援してきた者ととして、とてもうれしい知らせでした。
 きっとこの先、いい作品を生み出す原動力になることと思います。芸術作品はその時代を生きる皆の財産です。すでに上昇気流に乗って悠々と過ごしている人は別にして、その途上にある人が、失速しないよう下支えをしていくためにこそ、作家さんの作品を扱うお店はあるのでしょうし、お店もまた沢山の人の支えにより成り立っているのです。
 日本中に芸術作品があふれ、百年後の人々にも、平成はいい時代だったと思われたいものです。

2010年3月17日

絵のある暮らし

 三月になり、卒業式のシーズン到来。
 40年前の子供の卒業の頃のことを思い出します。当時、ほとんどの母親たちは着物で盛装して式に参列したものです。

 ずいぶん前から積み立て貯金をして、呉服の展示会へ出かけては、あれこれ品定めをしたものです。着物は好きで見る機会も多く、目は肥えていたせいで、予算と好きな着物がどうしても一致せず、結局着物はパス。式には洋服で出ると決め、貯金で絵を買いました。以来、着物には縁がなく、絵のある暮らしを楽しんでいます。
 人生をやり直すことがあれば、今度こそ「和室に着物」の暮らしを、と思うこのごろです。

2010年3月13日

啓蟄(けいちつ)を過ぎて

 啓蟄(けいちつ)も過ぎ、ようやく春めいてきました。自宅のベランダに出るのも苦にならなくなり、花壇に風船かずらの種をまきました。
 本当はチューリップの球根を、たくさん植えたいと思っていたのですが、買いに行く暇がなかったので、今年は種から蒔くものに変えました。今年は、昨年失敗した野菜は植える予定はないので、そのスペースに朝顔の種も蒔く予定です。狭いベランダですが、出来ることなら、ひようたんや糸瓜(ヘチマ)も育てたいのです。
 厨辺のいづれかくるゝ糸瓜蒔く 三原山赤 句
 台所の窓の外に糸瓜がなり、その先に山の稜線が見え隠れする、そんな風景に、出会いたいものです。

2010年3月12日

応援団

 びわ湖毎日マラソンをテレビ観戦しました。
 沿道には雨の中、傘をさしての応援の人々が沢山。選手たちには有り難い存在なのでしょう。きっと普段以上の力が出るのだろうと思います。
 最近、新聞やテレビではスポーツ・芸能の情報ばかりが目につきます。昔は小さなお店の展示会でも、テレビ、新聞に取り上げられ、センスよく品のいい映像や人の心に伝わる記事で紹介していただいたものです。最近では開催日時のお知らせのみ。かつては文化部の記者さんに育てられた作家の方が何人もいましたが、最近はとんとそんな話は聞きません。スポーツ、芸能ばかりでなく、工芸作家も応援していただきたいものです。
 文化部記者の皆さんには、頑張って紙面の質とともに「品」の向上も目指していただきたいと切に願っています。

2010年3月10日

ハウステンボス

 佐世保のハウステンボスは、オープンの時から賛否両論のある施設でした。曰く、本物の素材を使って再現されたオランダの街並み。曰く、日本初の本格的リゾートテーマパーク。一方で施設への過剰投資への批判。
 私は、ハウステンボスは、人間が知恵を出して創りだした九州観光の宝の一つだと思っていますので、今回、HISという旅行会社が再建に名乗りを上げて下さったことを心から喜んでいます。
 といっても、手放しで喜んでいる訳でもありません。過去3度ほど訪れる機会がありましたが、良い思い出はありません。何を食べても美味しくなく、お土産品の質の悪さ。何をするにもお金がかかり、しかも「高すぎる」! チューリップや運河も心地よく建物も立派なのに、本当に残念でなりませんでした。
 施設はお金があればできます。でも運営(使いこなす)には、なにより知恵が必要です。今回、経営者になられる方、顧問になられる方は、知恵を沢山お持ちの方のようです。きっと食事やサービスなどの中身と働く人を大切にしてくださるものと期待しています。
 高いお金を出すことが問題なのではありません。手に入れたものをどう使いこなすのか。人をどう幸せにするのか。お金を生かすも殺すも、この一点にかかっています。

2010年3月6日

本の思い出

 生まれて初めて読んだ活字ばかりの本は「ピノキオ」でした。
 それまでは講談社の美しい絵本ばかりを読んでいたのですが、この時は町の本屋さんに行って並んでいる本の中から選びました。なぜ「ピノキオ」だったのかは忘れましたが、表紙に描かれたおじいさんとピノキオの絵が印象に残っています。
 本に関するもう一つの思い出は、少女小説を買ってもらえなかったころの話。学校帰りに、友達が借りてきた少女小説を又借りして読んだことがあります。当時は大宰府の宝満山の麓の村に住んでいて、学校から家まで歩いて40分ほどの道のりでしたが、歩きながら夢中で読み続け、家に着いたときには読了。速読はそのとき以来、今にいたるまで続く特技の一つです。
 店主日記のテーマについて日々思いを巡らせていると、すっかり忘れていた大昔のことが突然思い出されることがあります。作家の田辺聖子さんのエッセーに、小説の神様が降りてくるのを必死に待っているという話がありました。こんな感じなのかと、独りごちていルノですが、残念ながら、私の場合は、思い出した事を、思い出したままにしか書けません。続けていれば、いつかキラリと輝くような文章が生まれるのではないかと期待を膨らませる今日このごろです。日頃、拙文にお付き合いいただき、ありがとうございます。さて、次のテーマはどうしましょう?

2010年3月5日

サクラサク

 受験生の皆さんの元には、すでに「サクラサク」の電報は届いたでしょうか? 電報の時代ではありませんね。
 今日からお店も「サクラサク」です
 まず、壁には大きな額に入つた桜の押し花、日賀野さんの和紙に桜の絵、そして桜のカレンダー。
 並べる器は桜の絵付けを中心に。桜は一年中器には使われますが、やはり春になると出番が来たとばかりに、ひときわ元気な様子で並んでいます
 外の大濠公園の桜はまだ硬い蕾。お客様が買い上げの器が家で使われる頃、ちょうど桜が満開の季節を迎えられるよう、お店では一足先に展示するのです。
 世の中の景気の浮き沈みがどうであれ、咲くものは咲く、自然の営みのすごさ。人間も負けないで、花開く季節にしたいものです。

2010年3月4日

弥生三月

 春の海 ひねもす のたりのたりかな  
 以前から3月に入ったら、この俳句のことを店主日記に書こうと考えていたのですが、チリ大地震による津波のニュース。先日訪れた大分県の佐伯でも水位が上がったようで、びっくりしました。津波の被害がなかったのは何よりです。でも、この俳句の話は時機にかなっていないようです。
 で、今日は春野菜のお話。
 いつもの西山商店さんから春野菜が届きました。菜の花、タケノコ、グリーンピース、わけぎ。夕食の献立はマメご飯、菜の花の辛し和え、筍とワカメの吸い物。それにワケギの酢みそ和え。これに、ふきのとうとたらの芽があれば申し分ないのですが、そこは我慢して代用の鶏の唐揚げを用意して、春を堪能させていただきました。

2010年3月3日

和菓子

 最近、立て続けに美味しい和菓子をいただきました。
 当たり前のように身近に接していたので、気にもしていませんでしたが、改めて和菓子の素晴らしさを認識しました。和菓子の中には100年以上、味も姿も変わらないものがたくさんあるのですね。
 料理やファッションに隠れてあまり目立たない和菓子の世界ですが、地方の小さな町で脈々と受け継がれているのは本当にすごいことだと思います。和菓子はその土地の文化遺産といってもいいのかもしれません。今日も本物のお菓子が、日本の津々浦々で作られているかと思うと嬉しくなります。
 大量生産の安物が氾濫する世の中。値上げも、値下げもせず、日々淡々と作られる和菓子。心していただきたいものです。

2010年2月28日

オリンピック

 バンクーバー冬季五輪も終わりに近づいて来ました。近くに雪もなく、冬の競技にはあまり関心が無かったのですが、今回、テレビで見ていて、美人揃いの女子カーリングは好きになりました。
 オリンピックの競技種目に入っているくらいですから、海外ではきっと盛んなのでしょうが、日本国内では競技が行われているのは北海道と青森くらいだそうで、普段は見ることも話題になることもない競技です。先日、タクシーに乗った時にカーリングの話題になり、「何といっても選手たちのキリッとした美人さがいい」と話が盛り上がりました。これをきっかけに、日本でも競技人口が増えるといいですね。

2010年2月26日

ドライブ

 去る21日(日)に往復7時間のドライブをした。
 行き先は最近直行バスが運行を始めた大分県佐伯市。最近、大々的に宣伝されているようですが、世界一のお鮨があるという土地です。豊後水道の近くで、天然のネタに恵まれた場所。宣伝にたがわず見事なお鮨をいただきました。それにしても、気になったのは道路の立派さ。見事、というのもちょっと変ですが、本当に見事な道路なのです。まあ、この高速道路のおかげで物流関係の方々はずいぶん助かっているのでしょうね。注文はインターネットでできても、商品はインターネットで運ぶことはできないのですから。でも、こんな道路を作っていたら、国の借金が増えるのも無理はありません。車窓の景色を眺めながら、そんなことを思っていました。
 それで、佐伯にはお鮨を食べに行ったのかですって? いえいえ、そんな訳ではありません。お客様の所への訪問販売でした。訪問販売のはずが、逆にお抹茶をご馳走になった上、一期一会のおもてなしを受けることに。昔、お買い上げいただいて、しっかり使い込まれた器に対面する事が出来ました。やっぱり、こんな経験ができるのも立派な道路が整備されているおかげですね。ちょっと複雑な気持ちですが、できてしまったものは、しっかり使いましょう。

2010年2月22日

読書の愉しみ

 おかげさまで展示会も無事に終わり、お店も落ち着きを取り戻しました。
 千客万来の商売も素敵ですが、店番をしながら好きな本を読めることも、マイペースでお店を続ける楽しみの一つ。
 最近は古代史の本を読むのが楽しみです。古代史といっても、身構えて勉強を始めるつもりはありませんから、読みやすく古代史のロマンを伝えてくれる作品を選んでいます。やっぱりお気に入りの著者の作品が一番。
 先日紹介した「謎の渡来人 秦氏」に続いて今読んでいるのが、「謎の大王 継体天皇」と「 謎の豪族 蘇我氏」 (いずれも文春新書)。それにしても巻末に記された参考文献の多いこと。日々、黙々と研究を続けられているのだと改めて感心させられます。それを、私などにも判りやすい言葉で解き明かしてくださるのですから本当にありがたいことです。
 展示会を無事に乗り切った充実感と静けさに包まれながら、至福の時を過ごしています。

2010年2月20日

荒尾記史朗さんのこと

 今、お店に作品〈コラージユ〉を飾っています。この作品は昨年、50代の若さで亡くなられた荒尾記史朗さんの作品です。
 荒尾さんが大学卒業記念にハワイに行かれたときの絵日記に始まり、亡られるまで30年以上にわたって沢山の作品を見せていただきました。元々は書の世界で育ってこられた方なのですが、そのうち書の中に絵が交じり始め、県展などでは書の部門としては認められなくなってしまったそうです。そんなこともあって、一時期は「門外」と揮毫されていました。
 その溢れんばかりの才能は、書や日本画の世界を突き抜け、陶芸、ジャズ、料理、壁画と広がり、さらに90年代に能古島に居を移されてからは「遊びが仕事」と、多くの人たちを巻き込んだイベントで楽しませてくれました。その勢いは晩年に移住されたバリ島でも発揮されていたようです。随分と一緒に遊ばせていただきました。
 今飾っている作品は、私の還暦の記念に注文したものです。人の何倍も仕事をして、人の何十倍も人生を楽しまれた荒尾さん。きっとあの世でも周囲の方々を楽しませていることだろうと、作品を眺めながら考えているところです。

 今しばらくはそちらに行く予定はありませんので、荒尾さんとの再会は、もう少し先の楽しみに取って置くことにします。

2010年2月17日

赤ひげ

 お店と自宅のちょうど中間にある焼き鳥屋さんの名前です。
 「陶ひな展」(持丸房子さん、山下玉枝さん)の企画展で、1月21日から2月16日までお休み無しで頑張ってきたので、1日早く15日に慰労会をしました。雛人形の打ち上げに焼き鳥がふさわしいかどうか。それはともかく、このお店、とにかく美味しいのです。
 お店はいつ行っても満席。材料が良く、炭火焼き。鉢巻をしたご主人が一人で焼くので味がぶれることがありません。その上安いので、支払いの時にはいつも計算間違いではないかと思うほどです。ご主人星野〈お茶どころ〉出身の方だそうで、お米もお茶も申し分ありません。
 近くにお店はたくさんありますが、味、サービス、値段と三拍子揃ったお店はそう多くはありません。私の評価は五つ星。

2010年2月16日

思いを新たに

 先日ご紹介した福岡・岩田屋の日本伝統工芸展(〜2月15日)を見てきました。
 今年は素晴らしい作品が出品されていました。出展作家さんの顔ぶれは、それほど変化はないのですが、力のある若い作家さんたちの台頭が目につきました。会場全体の雰囲気から照明、作品の配置も申し分ありません。すぐ隣でバーゲンセールをやっているような会場では興ざめですからね。さすが、岩田屋さん。力が入っているなと感じました。
 いつも言っていることですが、お買い求めになるお客様(素人)の目を甘く見てはいけません。買おうという気持ちで作品を見つめる視線は、驚くほど確かなのです。結局、本物だけが残るようになっているのです。景気が悪く、作品が思うように流通しない今の時代だからこそ、作家の皆さんはしっかり力を蓄えて物作りに取り組んでいただきたいと願います。
 作品を販売する私たちも同じです。心して仕事に取り組もうという思いを新たに会場を後にしました。

2010年2月12日

ウグイス

 昔、観光バスの車掌さんのことをウグイス嬢と呼んでいたような気がします。
 今日、お客さんではなく、ウグイス嬢のような方が、三人も揃ってお店にお見えになりました。お化粧品の宣伝販売とかで、化粧品がこまごまと詰まった箱が、通常なら6,000円のところが今日なら特別に2,000円とのこと。
 それは、それは、お買い得な話です。でも今更マッチ棒が乗せられるほどマツゲを伸ばしてみたり、色鮮やかな飾りを爪の上に接着剤で貼り付ける気もないのですから、箱の中身のほとんど(いや、全部)が、私には無用のものばかりです。的外れな客を相手にご苦労な話です。
 でも、一生懸命にさえずるウグイス嬢さんたちの話を聞くでもなく箱を眺めていました。箱は三段重ね。ふたの裏には鏡が取り付けられています。黒い箱の外側に貼付けられたスパンコールの、不器用で不揃いな光の列にちょっと引っかかるものがありました。スパンコールは宣伝嬢の自作だそうです。
 宣伝文句は別として、お嬢さんたちのさえずりに心も明るくなって、つい、買ってしまいました。(家族には内緒ですよ!)

 「使いもしないお化粧品に2,000円も使って!」と叱られそうですが、別に騙されたとは思っていません。私が今日、2,000円で買わせていただいたものは、、、、一生懸命に頑張って春を告げてくれる「ウ、グ、イ、ス」。

2010年2月11日

もうすぐ春ですねー♪♪

クロモジ(ウイキペディアより)

 今、お店に黒文字(クロモジ)と野苺を活けています。
 野苺の葉は若緑の鮮やかなグリーン。今の季節に活けるのには最適です。クスノキ科の黒文字は和菓子をいただく時の高級楊枝でしか知りませんでしたが、枝ぶりと新芽がなんとも風情があります。アブラナ科の黄色のストックと白い小菊を組み合わせてみました。
 桃の節句の飾りなのですが、三月にならないと桃の花は手に入りません。まだ寒い二月。今しばらくはこの黒文字と野苺で爛漫の春の到来を待つことにします。

2010年2月9日

エール

 いつもなら決まって展示会の初日に来て下さるNさんから、写真と毛筆の手紙を頂きました。
 Nさんは、今年87歳。寒い時期なので外出は控えていらっしゃるそうで、せめて手紙でエールを送りますとのこと。和紙の便箋に赤カブの水墨画に青墨でのお便り。本当に力強いエールを頂きました。
 長年にわたって、絵画、書道、茶道、ダンス、そしてお料理と、羨ましいくらいに充実した日々を送って来られた方です。お写真には真っ赤なセーターを着て、好きなものに囲まれて微笑んでいらっしゃるNさんの姿。あまりに嬉しくて、来店されるお客様にも見ていただいています。
 私の好きな『生きよう今日も喜んで-平沢興語録』(1995、致知出版社)の言葉通りの日々をお過ごしのようですです。
 私も後期高齢者の仲間入りはしましたが、人生やっぱりこれからが本番だと、改めてNさんに勇気づけられました。ある方が「還暦は人生のリセット。80歳でようやく成人式」とおっしゃっていましたが、そう考えると、私もようやく高校生。いや、それはさすがに厚かましいですね。力強いエール、本当にありがとうございました。

2010年2月8日

D N A

「謎の渡来人 秦氏」水谷千秋著(文春新書)を読みました。
 古代、朝鮮半島から、壱岐対馬を経て渡来した謎の集団の秦氏は、政治や権力闘争に興味を示すことはなく、織物、土木、酒造、流通などに力を発揮して豪族たちとともに活躍したそうです。もの作りのエキスパート集団ですね。その秦氏が伝えた技術の源は、中国、そしてインドで培われたもの。
 秦氏が日本の伝統文化に与えた影響は、単に技術だけでなく、DNA(遺伝子)の中にもしっかりと受け継がれているのだと思います。美的センスがあって手先の器用な人が多いのも、そのDNAのお陰ではないでしょうか。
 日本の工芸品を販売する店がインドにできるという話を新聞の記事で知りました。いい話ですね。インドに生まれた文化が、中国、朝鮮半島を経て日本でどのように花開いたか、ぜひ、インドの方々にも見て頂きたいものです。できることなら、工芸たきぐちの支店をインドや中国に出したいくらいです。
 2月10日より福岡の岩田屋本店で日本伝統工芸展が始まります。どんな作品が並ぶのか楽しみです。

2010年2月6日

有朋自遠方来、不亦楽乎

 展示中のお雛様のご注文を、遠方にお住まいの方から続けて頂きました。お一人の方は富士山を眺めながら、毎日お散歩を楽しまれているという静岡の方。そしてもうお一人が東京在住の方です。
 東京在住の方は、お店にお見えになったお母様が、作品の写真をメールで送って作品をお決めになられました。近くご主人の故郷、英国に戻られるそうで、ご自分用に1組、インドのお友達へのお土産用に1組を購入されました。
 福岡の小さなお店に飾られていたお人形が、富士山のふもと、英国、インドへと旅立って、その地に飾られると思うと嬉しくなります。
 作品自体の良さ、力強さもさることながら、お雛様という日本文化のすごさを改めて感じさせられる出来事でした。
 今回のタイトルは「朋(とも)有り、遠方より来たる。亦た楽しからずや」 論語の一節です。
 お客様を「友だち」扱いしている訳ではありませんが、遠くにお住まいだったり、久しぶりの方からのご連絡は、仕事抜きで本当に嬉しいものです。

2010年2月3日

二月、如月(きさらぎ)

 広辞苑によれば、「きさらぎ」とは草木が更生することだそうです。
 俳句の季寄せにある、「着物をまだ重ねて着る頃」から来ているというのは誤りだとか。どちらにしても、二月、きさらぎと聞くとなにか、年末、年始のあわただしい日々が終わり、落ち着いて、自然界の芽ぶきを待たれる心地がしてきます。
 二月にはまた、梅見月(むめみつき)という別称もあるようです。紅梅、白梅などが花咲く季節ですね。大宰府まで出かける時間はありませんが、近くの鴻臚館や福岡城跡の梅も見事です。
 うぐいすの声を聞きに朝の散歩を再開するのもいいかもしれません。でも実行できるかどうかは、少々、心許ない気もします。お出かけになる機会がありましたら、是非、お話だけでもお聞かせください。

2010年2月1日

写経

 今、若い人の間で農業と佛教がブームというような話をどこかで聞きました。
 昨年、九州国立博物館で開催された「阿修羅展」には71万人もの人出があったそうです。日本文化の基本ともいえる佛教に光が当たるのは何よりと思います。
 以前、京都で三十三間堂の佛像を初めて見たとき、ここに心の故郷が残っていたと感激したものです。五年ほど前から毎月一回写経をしています。今年からは薬師寺の伽藍復興事務局に送ることにしました。世界平和と家内安全を願い、「貧者の一灯」になればと思いつつ。

2010年1月30日

ふる里

 先日、全国都道府県対抗駅伝を見ました。
 いろんなマラソンや駅伝の大会が行われる中で、中学生から社会人までが一丸となって自分たちのふる里を代表して走るこの大会は、大学や実業団とはまた違った楽しみがあります。テレビの前で全国の人が自分の郷土を応援しているかと思うと、なんとも微笑ましい気持ちになります。故郷を後にして、大学生や社会人として全国で活躍している選手たちが、この時ばかりは自分たちが生まれ育ったふる里のために、中,高生たちと一緒になってゴールを目指す。レース後の達成感は、憧れの選手と一緒に走れた中高生以上にベテラン選手の心に響いたのではないでしょうか?
「ふる里は遠くにありて思う」ばかりでなく、年に一度だけでもふる里のために役立つ機会があるなんて本当に素晴らしいことですね。
 このレースが日本中の人の心に、それぞれのふる里への思いを蘇らせてくれるなら、それが何よりの「街おこし」です。都会で活躍されている皆さん、都会暮らしにちょっと疲れた皆さんも、時間があったら、ほんの少しだけふる里のことを思い出してください。そして、もしできることなら、自分に何ができるかを考えてみてください。皆で力を合わせて、タスキをつなぐことができれば、きっと素敵な世の中になるはずです。

2010年1月29日

寒中

 寒の入りから寒明けまでの約30日間、1月5日の小寒から2月5日の立春までを寒中といいます。そのちょうど真ん中が1月20日の大寒。
 この時期には寒稽古があったり、寒の餅つきがあります。寒い時期に体を鍛えることで、力が伸びることでしょう。 寒い時期につくお餅は、味が良くて保存が効くと言われています。でも、「大寒の卵」というのは初耳でした。
 西山商店さんから届いた今年初注文の品の中に、注文外の卵が入っていました。これが「大寒の卵」。文字通り1月20日の大寒の日に産まれた卵で、これを食べると金運と健康運に恵まれるということです。知りませんでした。勉強不足。
 さっそく1個をゆで卵に。今年は健康にもお金にも恵まれると思いながらありがたく頂きました。確かに寒い時期の卵は滋養にも富んでいるようです。次は卵かけご飯にしてみます。
 西山商店さんの話では、1月に入ったらすぐに「大寒の卵」の注文が入るそうです。中には、東京に住んでいる子供さんに送りたいと注文される方もいらっしゃるとか。金運や健康の秘訣というのは、いろんなところにあるものですね。

2010年1月24日

香合

 お香を焚くような生活からは程遠いところにいるのですが、香合は茶事に関係なく身近において楽しめる道具の一つです。
 香合自体は小さいものです。しかし、間近に眺めてみると、作品の持つ力強さや、込められた作者の思いがぎっしり詰まっていることが分かります。材質や作りにもいろんな種類があり、日本文化を代表する工芸品と思います。
 21日からの陶びな展に、香合を並べています。お雛様と一緒に飾る道具としても最適です。
 自分でも気に入りの香合は集めていますが、憧れの香合は、東京の「大倉集古館」に所蔵されている「雉の香合」(仁清作)です。

2010年1月23日

寅年に

 今年は寅年。
 毎年干支の置物を滝口さんに注文して、作品が届くのを楽しみにしています。いつも、いつも思いがけない楽しい作品が届きます。特に付属品に驚かされます。今年はどんな作品だろうと思っていたところ、届いた箱には、「とらの 」とだけしか書かれていません。箱書きを忘れたのかと一瞬、思いましたが、中身を出してみて納得。付属品は巻物。箱と一緒に飾ると意味がわかる仕掛けでした。(答えはこのページの一番下の写真。)

 

 寅年で思い出すのが、子供の頃に住んでいた満州でのこと。生け捕りにされたトラを見た事があります。シベリアタイガーだったのではないかと思うのですが、ロシア人が奥地から二人掛かりで運んで来たらしく、駅の前にはいくつもの檻が並んでいました。
 そしてもう一つの思い出が父親のこと。トラといっても酒癖が悪いという意味ではありません。明治35年生まれのトラ。農家の三男坊として生まれた父は、満州に渡るのですが、その行動力にしては、やや気弱なトラでした。それを反面教師に、強い私が育ったと思っています。感謝。

2010年1月23日

お椀のこと(その2)

 漆のお椀は長年使わないで仕舞い込んだままにしておくと弱くなります。「宝の持ち腐れ」とは、そのことを言ったのではないでしょうか。長年使わずにいた漆器は、後に使い始めると、どんなに大切に保管していてもボロボロとはがれてくるものです。骨董品の漆器が陶器に比べて安いのは、そのせいだと思います。
 お正月は漆塗りを使うことの多い時期。お湯で洗って、軽く拭くだけで一年は保ちます。ぜひ、時間のある時に湯通しをして器を鍛えてあげてください。
 最近、新聞やテレビで企業の破綻が報じられていますが、事業の縮小などで人材の持ち腐れにならなければと願います。人も器も、「使ってこそ」そして「使われてこそ」本当の力が発揮できるものです。

2010年1月22日

お椀のこと

伊藤拡さん作

 私が初めて塗りのお椀を買ったのは、今から半世紀近くも前のことです。平均的サラリーマンのお給料が15,000円。公団住宅の家賃が4,800円という時代に、そのお椀(蓋付き、蒔絵)は3,500円でした。毎月、500円ずつの月賦で購入しました。そのお椀は今も現役で活躍しています。だから塗りのお椀は好きです。
 今年から福岡在住の伊藤拡(ひろし)さんのお椀を常設させて頂くことになりました。無地の普段使い用で、下地から上塗りまでしっかりと作り上げられています。
 最近は、楽しみながら料理を作る若い人が増えてきているそうです。日本料理の基本である味噌汁を、朱の木製漆塗りのお椀でぜひ召し上って見てください。味が変わること請け合いです。

2010年1月17日

持丸房子さんのこと

 持丸房子さんの作品に出会った頃のこと思い出しています。
 出会いは35年くらい前のこと。当時あったデパートでの展示会でのことです。
 私は昔からお雛様が好きで、木目込み人形,京雛など、雅で派手なお雛様をよく見ていた。ところが、その展示会で出会ったのは、土の、しかも焼き〆のお雛様。本当にびっくりしました。焼き〆にも関わらず、上絵付けが雅で顔が可愛いのです。すっかり気に入って、お雛様だけでなく、大原女の人形や掛け花入れを買いました。
 今回、たきぐちのお客様に紹介させて頂きたいという思いが通じ、1月21日より2月16日まで、お弟子さんの山下玉枝さんの作品も一緒に展示させていただけることになりました。
 寒い季節ですが、ぜひご来店いただきたいと思っています。

2010年1月15日

冬木立ち

 福岡にしては珍しく寒く、雪景色、たまたま休みの日でベランダに出てビルの谷間を通して、見える冬木立ちと降りしきる雪を楽しみました。

 冬野菜、魚、養殖ノリ、それに最近始まった玄界灘の養殖真珠の出来もいいのではないでしょうか。

 日本はどんなに寒くても、シベリアのように凍土になることはありません。雪の下に緑が見え、ボタンも楽しめる優しい冬です。

 そんな気候の影響もあって、日本人は優しい民族なのかなと思っています。でもこれは屋根に雪が積もることのない福岡に住んでるからこそ思えることかもしれません。

2010年1月15日

成人の日

 今は決まって1月15日でないのが少しぼけた感じがじます。
 仕事やオシャレに都合よくと成人を迎える人に合わせ、ついでに祭日も多くして、との配慮かもしれませんが、一生に一日だけのこと。いろんな事情があったとしても、それはそれ。過ぎ去ってみれば、全て懐かしい日になるだろうにと思うとちょっと残念な気もします。
 私の成人式は昭和29年。新しい土地に引っ越したばかりで、誰一人知り合いもなく、晴れ着もありませんでした。そんな成人の日でしたが、その日頂いたタオルに、「聡く」と書かれていたことを鮮明に思い出します。
 平成生まれの成人の方々、夢に向かって精一ぱい挑戦してください。

2010年1月12日

冬ごもりの記 (2)

 冬ごもり中のお正月は、テレビと一緒に過ごします。

 大晦日の夜は紅白歌会戦。今年は例年になく見ごたえあり、途中で居眠りすることもなく最後まで楽しみました。年越しそばを食べ終わるころには、ゴーンという鐘の音とともに画面は急転換。静寂に包まれた全国の新年の雪景色が映し出され、いよいよ新しい年の幕開け。

 1日から3日は駅伝。1日の実業団、2、3日の箱根駅伝は、冬ごもりのハイライトです。寒風が吹き抜ける群馬の地を走り抜ける実業団駅伝では、箱根の活躍で顔を覚えた選手の姿も。今年の箱根駅伝は、天候にも恵まれ、どのチームも完走。富士山も例年より美しい姿を見せ、若い人の活躍に元気と安心をもらいました。

 28日から5日までの間、ドアの外に出たのはポストに年賀状を取りに行った1回だけ。大満足の冬ごもりでした。

2010年1月9日

冬ごもりの記 (1)

 12月28日から1月5日までは、冬ごもりをしていました。その日々をご報告します。

 年末の28日から31日までは掃除と御節作り。久々にいい材料が手に入ったこともあって、例年になく料理にも気合がはいりました。専業主婦をしていた頃を思い出しながら、キントン〈案納いも、長野のリンゴ〉、青森産の太くやわらかいゴボウのたたき、牛肉巻き、カズノコなどを作り、美味しくいただきました。

 

 そして夜は読書。「山崎豊子 自作を語る」シリーズ全三巻を読了しました。
 山崎さんの作品は『華麗なる一族』から『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』の戦争三部作、『沈まぬ太陽』など、本で読んだり、テレビ、映画で見て何度も感動させられましたが、今回の三部作では、ご自身の作品作りにかけた、すさましい努力や思いが綴られています。
 困難を極めた政界、財界、学会への取材に取り組む姿には、ただただ頭が下がる思いです。

2010年1月8日

初売り

 たきぐちは今日から開店です。ビルの7階でなければ、初売りの旗でも立てて、賑々しく始めたいところです。

 この「店主日記」を読んで下さっている方から、うれしい年賀状をいただきました。元気を出して、今年もこつこつ続けさせていただきます。

 今年の初売りで力を入れて展示しているのは、村田美代子さんの染め更紗の掛け軸です。25年来作品を届けてくださっていたのですが、今回の作品で終わりとなりました。一人でも多くの方に見ていただきたいと思っています。

2010年1月7日

老いない人生

久しぶりにNHKの「ラジオ深夜便」を聞く機会がありました。
 4日の夜は早々に寝たのですがが、夜中に目が覚めてしまい何気なくラジオをつけたところ、午前1時台の<クラシックを楽しむ>というコーナーでした。その日のテーマは、「老いない」という人生。86歳と90歳という高齢の指揮者のお話がクラシック音楽とともに放送されていました。コーナーを担当されている中野雄さんの心地よい声も手伝って、しばらく聞きほれました。私も今年から「老いない人生」を心がけたいと思ったことでした。
 もっともこれは年末年始の冬ごもり中ならではの出来事。仕事が始まれば、夜は10時に寝て朝6時起床の生活ですので、しばらくは「ラジオ深夜便」を聞く機会もありません。年の初めに、希望を下さった番組に感謝。

2010年1月5日

年頭の所感 日々是好日

 たきぐちは何があっても,お店を続けることが沢山の人の応援に応えることになると思っています。

 今年もいい出会いがありますように心から願っています。

 

2010年1月1日 店主 小川 俊子